聴覚情報処理障害(APD)と補聴器(補聴援助システム)について

聴覚情報処理障害(APD)の紹介が様々なメディアで紹介されることが増えてきました。

聴覚情報処理障害(APD)は、聴力レベルに異常はないものの、日常の様々な場面で聞き取りづらく、聞き返すことが多い等の症状がみられれます。

今回は聴覚情報処理障害(APD)についてと上記の困りごとに対しての対応について書かせて頂きたいと思います。

聴覚情報処理障害(APD)とは?

聴覚情報処理障害はAPDと略されることが多いです(以下、APD)。

AはAuditory『聴覚』、Pは Processing =『過程』、DはDisorder=『障害』を指します。

APDは、聴力は健聴レベルであるものの、日常生活の様々な場面で言葉の聞き取りの困難さが生じるものです。

症状の一例を以下に示します。

小声イメージ
小声でぼそぼそとした声は聞き取りが困難な場合があります
騒がしいイメージ
雑音が多く騒がしい場面に置いても同様、聞き取りが困難な場合があります

聴覚情報処理障害(APD)の症状の一例

  • よく聞き返すことや聞き誤ってしまうことが多い。
  • 早口や小声でぼそぼそと話される内容の理解が難しい。
  • 雑音が多くある場面(ショッピングモールや多くの会話が飛び交う職場等)で聞き取りの困難さがある。
  • 長い話を、内容を理解しながら聞き続けることが難しい。

※1 APDの診断は、耳鼻科へ受診をお願い致します。

聴覚情報処理障害(APD)について

脳の伝達イメージ
耳から聞こえる情報は最終的に脳で処理をします。
音が聞こえているイメージ
APDでは、音は聞こえているけれど、言葉として理解が難しい場合があります。

耳から聞こえる情報は最終的には「脳」で処理を行います。

APDでは、脳の中枢神経系(情報を処理し発信する役割)に何らかの問題があるため、音は聞こえているのに「言葉の処理」が出来ない状態にあると言われておりますが、現状はっきりとした答えは出ておりません。

このAPDをもつ潜在的な方は、日本人の約2%と言われております(推定240万人)

聴覚情報処理障害 APD 山口耳鼻咽喉科クリニック

聴覚情報処理障害(APD)の対応について

  • 環境調整を行っていく
  • 補聴援助システム(補聴器)の利用

①環境調整を行っていく

上述の通り「雑音下の中の聞き取り」や「早口や小声の聞き取り」が困難な場合、雑音を抑える、言葉をよりはっきり聞きやすくすることで、より聞き取りやすい環境を作ることに繋がる可能性があります。

はっきりとしゃべるイメージ
はっきりと大きな声で話す
代替手段イメージ
メモやスマホに記録に残しておく
近づいて話すイメージ
近づいて話をする

環境調整の具体的な方法

  • ゆっくりと分かりやすい言葉で話す
  • 言葉以外のコミュニケーション手段を補助的に使う(紙に書く等)
  • 出来るだけ近づいて話す
  • 騒がしい場所から静かな場所へ移動して話す
  • 対面で一対一の環境の中で話す
福祉くん

2つ目の言葉以外の方法を併せて使って理解を深めるのも、大切になってきそうだね!

福子ちゃん

今はスマートフォンの録音機能やメモ機能とかのあるから、そういったものを利用していくと良いかもしれないわね!

②補聴援助システム(補聴器)の利用

送るイメージ
音を拾うのは送信機です。必要な音のみを届けるため雑音がカットされます。
受け取るイメージ
音を受け取るのは受信機です。送信機より電波によって音声が届けられます。

離れた場所、周囲の雑音、大人数の中での会話の聞き取りを手助けする目的で使用されます。

音声を拾って送る「送信機」と送信機からの音声を受け取る「受信機」に分かれています。

送信機側で周囲の雑音や言葉の聞き取りに不必要な音を低減させ、必要な音(言葉)を大きく届けることが出来ます。

具体的な商品に関してはスイスの補聴器メーカー、フォナックが出しているデジタルワイヤレス補聴援助システムの「ロジャー(Roger)」があり、このロジャー(Roger)の使用がAPDの聞き取りに有効な場合があります。

ロジャーに関しての説明は当店のブログで紹介させて頂いております。

まとめ

今回は聴覚情報処理障害(APD)に関しての記事を書かせて頂きました。

次回は、最後に書かせて頂きました「補聴援助システム(補聴器)の利用」の『ロジャー(Roger)』について書かせて頂きたいと思います。