聴覚情報処理障害(APD)・聞き取り困難症(LiD)と補聴援助システム「ロジャー」について
様々なメディアで紹介されることが増えてた「聴覚情報処理障害(APD)※1」「聞き取り困難症(LiD)※2」
2024年3月26日に国の医療分野の調査研究機関である日本医療研究開発機構(AMED)が
聞き取り困難症・聴覚情報処理障害(LiD/APD)の診断と支援の手引き(2024年第一版)が公開されました。
こちらの中に当店でも取り扱いのある補聴援助システム「ロジャー」が紹介されました。
※1 聴覚情報処理障害(APD)=Auditory Processing Disorder
※2 聞き取り困難症(LiD)=Listening Difficulties
聴覚情報処理障害(APD)とは?
聴覚情報処理障害はAPDと略されることが多いです(以下、APD)。
AはAuditory『聴覚』、Pは Processing =『過程』、DはDisorder=『障害』を指します。
APDは、聴力は健聴レベルであるものの、日常生活の様々な場面で言葉の聞き取りの困難さが生じるものです。
![小声イメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20220919013.png)
![騒がしいイメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20220917012.png)
※1 APDの診断は、耳鼻科へ受診をお願い致します。
以前の記事では、聴覚情報処理障害(APD)と補聴器(補聴援助システム)について書かせて頂いております。
補聴援助システム「ロジャー」について
![送るイメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20220916009.png)
![受け取るイメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20221916008.png)
離れた場所、周囲の雑音、大人数の中での会話の聞き取りを手助けする目的で使用されます。
音声を拾って送る「送信機」と送信機からの音声を受け取る「受信機」に分かれています。
送信機側で周囲の雑音や言葉の聞き取りに不必要な音を低減させ、必要な音(言葉)を大きく届けることが出来ます。
具体的な商品に関してはスイスの補聴器メーカー、フォナックが出しているデジタルワイヤレス補聴援助システムの「ロジャー(Roger)」があり、このロジャー(Roger)の使用がAPDの聞き取りに有効な場合があります。
ロジャーに関しての説明は当店のブログで紹介させて頂いております。
Roger(ロジャー)とは?
![ロジャーと補聴器](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20221916009.png)
ロジャーは、スイスの補聴器メーカー「Phonak(フォナック)」から発売されている上記のような、ことばの聞き取りが困難な場所で、より快適な聞こえをサポートする補聴援助システムのことを指します。
ロジャーを使用する際は「送信機」と「受信機」の2つの機器が必要となります。
送信機
![送信イメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20220916009.png)
![ロジャーペン](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/rogerpen.png)
![ロジャーセレクト](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20221916010.png)
![ロジャータッチスクリーン](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/rogertouchscreen.png)
送信機は、音声(ことば)を集めるマイクの役割をします。
話を聞きたい相手に持ってもらったり、会議などの場合は卓上に置いたりして使用します。
形状は、持ちやすいペン型タイプや軽量で首にかけやすい円盤タイプなどあらゆるタイプがあり、使用する環境に合わせて選んで頂くことが出来ます。
送信機で拾った音声(ことば)をデジタル化し処理を行うため、周囲の雑音を低減させ、音声(ことば)をよりはっきり際立させることが出来ます。
受信機
![受信機イメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20220916007.png)
![ロジャーネックループ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/rogerneckroop.png)
![フォナック補聴器](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/202210270001.png)
受信機は、送信機から届けられる音声(ことば)を受け取るものになります。受信機で受け取った音声(ことば)を補聴器や人工内耳を通して聞くことが出来ます。
受信機の形状は様々で、首にかけるもの、補聴器に内蔵されているもの、補聴器に直接とりつけるものなど様々なタイプがあります。
デジタル無線(電波)を用いて届けるため、ことばの聞き取りが困難な場面でもよりクリアな音質で聞き取りが可能になります。
以下、ロジャーについての記事になりますのでご参考にして下さい。
ロジャーの特徴
ことばの聞き取りが困難な場面で活躍が期待できる「Roger(ロジャー)」には以下の特徴があります。
①離れた距離の相手の音声をクリアに補聴器に届ける
![距離イメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20220917015.png)
![声イメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20220917001.png)
離れた距離での会話はその間の周囲の音も拾ってしまうため、聴覚情報処理障害(APD)の方や補聴器ユーザーにとって、聞き取りが難しい環境が多いです。
Roger(ロジャー)を使用することで、話し手の声は「送信機」を通じて『直接』受信機に届けられるため不要周囲の雑音をカットすることができ、より相手の会話を聞き取りやすくなります。
②会議などのあらゆる方向からの声をしっかりとキャッチし補聴器に届ける
![会議](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/2220907004.png)
![選択イメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20220917003.png)
職場の会議や学校生活でのグループワークのような、あらゆる方向からの会話は聴覚情報処理障害(APD)の方、補聴器ユーザーにとって聞き取りの苦手な場面の一つです。
Roger(ロジャー)を使用することでどの方向でも、しっかりとは会話をキャッチし受信機にクリアな音声を届けてくれます。
③接続の安定性
![デジタルイメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20220917005-1024x768.png)
![抽出イメージ](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/20220917006.png)
ロジャーは2.4GHzワイヤレスという電波を使って受信器と送信器間で高速デジタル通信を行います。
高速で通信を行うため、音声の遅延が発生しづらく、途切れにくいのも特徴です。
また、必要な音のみを数値化して抽出が出来るため、雑音をカットする機能に優れ、よりクリアな音質を実現します。
最新のRoger(ロジャー)についてご紹介!
2024年12月に「ロジャー3」シリーズを発売されました。
この度は「ロジャーアンリミテッド」という画期的な機能の追加が大きな特徴となります。
ロジャーアンリミテッドについて
![アンリミテッド1](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/roger3seigen-1024x683.png)
![アンリミテッド2](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/roger3seigenkaizyo-1024x683.png)
アンリミテッド(=unlimited)は、無制限と翻訳されます。
今回のロジャーアンリミテッドは、これらの制限が撤廃されます。
この度の新製品は、フォナックのマーベル以降のロジャーダイレクト※3対応の補聴器であれば、ロジャーの受信機能(02)の近距離・遠距離用の受信機能が無制限に移すことが出来ます!
※3 ※2 ロジャー送信機で受信した音を直接補聴器のマイクロホンにストリーミングすること
発売されるロジャー3の4機種
今回は「ロジャータッチスクリーン3」、「ロジャーOn 3」、「ロジャーセレクト3」、「ロジャーテーブルマイク3」が発売されます。
ロジャータッチスクリーン3
![タッチスクリーン3](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/rogertouchscreen3.png)
![画面Ⅰ](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/touchscreenpanel.png)
![画面2](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/touchscreenpanel2.png)
![画面3](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/touchscreenpanel3.png)
- 画面表示改善
アイコンの位置が変わり、より操作性が良くなりました - ミュート時 点灯表示の選択
- 使用可能距離
最大25mまで可能(遠距離対応)
ロジャーダイレクトの場合 最大 120m
ロジャーOn3
![ロジャーオン3](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/rogeron3.png)
![ロジャーオンワイドインタビューモード](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/rogeron3syuon.png)
![ワイドインタビューモード詳細](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/multwidebeame.png)
- ワイドインタビューモード
通常のインタビューモードより広いビームフォームで複数話者をよりよく認識 - スマートミュートモード搭載
本体をミュートにすると、ワイヤレス接続している補聴器が補聴器機能に自動で切り替えされる - 傷防止ディスプレイ
- 使用可能範囲
最大25m
ロジャーダイレクト&アプリ操作で最大50m
ロジャーセレクト3
![ロジャーセレクト3](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/rogerselect3.png)
- Bluetooth搭載
唯一のBluetoothのロジャー送信機。タブレット、スマホと連携して外部マイクとしての利用や、ハンズフリー通話が可能に。 - 集音範囲360°
卓上に置くことで360°集音が可能。アプリor手動で集音方向(6方向)が選択可能に。 - 使用可能距離
最大25mまで可能(遠距離対応)
ロジャーダイレクトの場合 最大 120m
ロジャーテーブルマイク3
![ロジャーテーブルマイク3](https://aichi-hochoki.com/wp/wp-content/uploads/2024/11/rogertablemic3.png)
- 会議で活躍
リモコン付き。リモコンで音量調整と集音範囲の選択が可能。広域で最大3m、狭域で最大1.5m可能 - ロジャー同士の接続で複数台の使用が可能
ロジャーセレクト等と互換性※3があり、2台同時使用が可能 - 使用可能距離
最大25mまで可能(遠距離対応)
ロジャーダイレクトの場合 最大 120m
※3 以下の器種と互換性があります。ロジャー オン、ロジャー オン iN、ロジャー オン V2、ロジャー オン iN V2、ロジャー オン 3、ロジャー セレクト、ロジャー セレクト iN、ロジャー セレクト 3、ロジャー テーブルマイク II、ロジャー テーブルマイク 3、ロジャー クリップオン マイク等
まとめ
今回は、聴覚情報処理障害(APD)と補聴援助システム「ロジャー」についてご紹介しました。
当店では、各機種の試聴が可能です!
TEL:0564-24-4733
webでの予約も承っております。
また、当店の代表・天野慎介はPhonak(フォナック)より補聴援助システム「Roger(ロジャー)」のロジャーエバンジェリスト(伝道師)に選ばれております。
2025年1月時点では、全国で2名のみ選ばれております。
この記事を書いた人
![阿部](https://smilehochouki.org/wp/wp-content/uploads/777dd16242add1d63b2b4ac8d5acd858-150x150.png)
- あいち補聴器センター言語聴覚士
-
言語聴覚士として勉強した知識を生かして聞こえについての情報を発信していきます!
水泳と走ることが好きです。
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