聴力測定の結果をみてみよう!②
前回は、聴力測定の結果をみるために必要なことについて書かせていただきました。
以下は前回の記事のポイントをまとめてみました!
- オージオグラムの縦軸は音の大きさ、横軸は音の高さを表す。
- 記号は『〇 / × / [ / ]』の4つがあり、それぞれ右・左、気導値・骨導値の違いを表す。
- 気導値は普段聞いている音のルート(外耳・中耳・内耳のすべて)の結果を反映している。
- 骨導値は内耳(耳の奥にある音の大きさや高さを分析する部分)のみの結果を反映している。
今回は、その続きを書かせて頂きたいと思います!
前回の記事をこちらに載せておりますので、よろしければご参照してください。
聴力測定の結果の見方
今回は、この2点について書かせて頂きます!
気導値と骨導値を2種類測るのはなぜ?
補聴器販売店の目線として、一番大切な理由は『補聴器を使っても大丈夫なのか?』をみるためです!
え!? 逆に補聴器って使っちゃダメな時ってあるのかしら?
いったいどんな理由があるんだろうね?
耳の聞こえが悪くなる原因というのは、たくさんあります。
例えば、ご年齢を重ねることによるもの、病気やケガによるもの、ストレスによるもの等があります。
補聴器販売店では病気やケガの診断はできませんが、オージオグラムの形や右耳と左耳の聞こえのレベルをみて「これは耳鼻科医さんに相談しなければいけない!」と判断する基準というものがあります。
その基準というものは、具体的な数字でしめされています。
2つの音を検査することで、この基準に当てはまるかを確認することが出来ます。
病気やケガの可能性があるならば、まずはお医者さんで治療しなければいけないものね!
治療が遅れてしまっては、病気やケガももっと悪くなってしまうこともありそうだしね!
そのほかにも、オージオグラムの形をみて難聴の種類を判定し「この方が補聴器を付けた場合どれくらいの効果があるのだろう?」予測をつけるという役割もあります!
どれくらいの値であれば聞こえに問題があるといえるのか?
聞こえのレベルを判断するために『平均聴力レベル』というものを使います。
平均聴力は3つの周波数(500Hz・1000Hz・2000Hz)の気導値の結果をつかいます。
この3つは、日本語に含まれることの多い周波数です!
気導値は、普段私たちが聞いている音と同じルートの聞こえの値だったわ!
そして、右が「〇」で左が「×」で表すのよね!
日本では、この3つの周波数の結果を使い『4分法』と呼ばれる方法で平均聴力を算出しています。
【4文法の公式】= (500Hzの気導値の結果) + (1000Hzの気導値の結果 × 2) + (2000Hzの気導値の結果) ÷ 4
具体的にみてみよう!
500Hzの気導値の結果 | 1000Hzの気導値の結果 | 2000Hzの気導値の結果 | |
---|---|---|---|
右耳=赤い「〇」 | 65dB | 75dB | 85dB |
左耳=青い「×」 | 30dB | 40dB | 45dB |
【平均聴力レベルの公式を使って左右それぞれの結果を出してみましょう!】
・右耳= 65dB + 75dB × 2 + 85dB ÷ 4 = 75dB
・左耳 = 30dB + 40dB × 2 + 45dB ÷ 4 = 38.75dB
これなら私でもできそう!でも結果は出せたけど、基準がわからないわよ!
基準は「日本聴覚医学会」が出している公式のものがあるよ!
軽度難聴 : 25 dB 以上40dB未満 中等度難聴: 40 dB 以上70dB 未満
日本聴覚医学会 難聴対策委員会 難聴(聴覚障害)の程度分類についてより引用
高度難聴 : 70 dB 以上90dB未満 重度難聴 : 90 dB 以上
聴覚医学会の基準でみると上のオージオグラムの結果は、右耳が「高度難聴」左耳が「軽度難聴」にあてはまるわね!
ちなみに25dB以内であれば、正常範囲ともいわれているよ!
まとめ
今回のポイント
- オージオグラムをみて補聴器販売店は、補聴器を使って良いかを判断する材料にしている。
- 聞こえのレベルの判定は、3つの周波数の値を使った「平均聴力レベル」を使う。
- 日本聴覚医学会が出している基準と平均聴力レベルを比較して、難聴の程度を判断する。
この記事を書いた人
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言語聴覚士として勉強した知識を生かして聞こえについての情報を発信していきます!
水泳と走ることが好きです。
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