難聴のレベルによって「聞こえ」はどんな風に違うの?
前回までの記事では、聴力測定の結果の見方を書かせて頂きました。
その中で「平均聴力レベル」という日本語によく使われる3つの高さの音の平均的な値を出して、その値が「日本聴覚医学会」の出している基準のどこにあてはまるのかを見ることを書かせて頂きました。
今回はその基準に当てはまる方がどのような聞こえをしているのか?どのような困りごとがあるのか?を書かせて頂きたいと思います!
難聴のレベルは4つに分けられます!
難聴のレベルは「軽度難聴」・「中等度難聴」・「高度難聴」・「重度難聴」の4つに分けられています。
軽度難聴:25dB 以上 40dB未満
中等度難聴:40dB以上 70dB未満
高度難聴:70dB以上 90dB未満
重度難聴:90dB以上
日本聴覚医学会 難聴対策委員会 難聴(聴覚障害)の程度分類についてより引用
人の声を参考にすると、ささやき声が約40dB、普通の声が約60dB、大きい声が約80dB、叫び声が約90dBと言われているよ!
前の記事で音の大きさについて書いてあるものあったからそちらを見てもう一度イメージをつけてみるわ!
以前に音の大きさについて書かせていただいたものです。よろしければご覧になってみてください!
続いては、それぞれの難聴について詳しくみていきたいと思います!
軽度難聴(25dB 以上 40dB未満)
聞こえのイメージ
- 小声・会議・騒音下での聞き誤りが出てくる。
- 必要な時は補聴器をつけることが勧められる。
- 最高語音明瞭度※1は80%以上の人が多い。
小さい声で話しかけられたとき、複数人でお話をするとき、周りがガヤガヤしているときなど一般的に集中して音を聞く必要がある場面で聞き間違えてしまうことがあります。
聞き誤りがありそうな言葉は言い換えるなどの手段があります。
例えば、数字の「1(イチ)」と「7(シチ)」は、「1(イチ)」と「7(ナナ)」と使い分けるようにするとよいのではないでしょうか。
補聴器の使用は会議などが多い方や接客のお仕事でお客様のことばをきちんと聞きたいと思う方などに対して、使用をすすめられる場合があります。
※1 最高語音明瞭度とは「あ」や「き」などのことば一文字をどれだけ正確に聞き取れるのかを調べたもので、すべて正解で100%となります。聞こえに問題がない方は基本的に100%正解します。
中等度難聴(40dB以上 70dB未満)
聞こえのイメージ
- 日常会話での聞き返しが多くなる。
- 自分自身の声が大きくなる。
- 補聴器をつけて生活をすることを勧められる場合がある。
- 最高語音明瞭度は個人差が大きい。
普通の声の大きさ(60dB)が聞こえにくくなります。
話しかける際は、大きい声で正面から話すことが勧められます。
補聴器をつけるときは、日常生活のすべての場面においてつけることが望ましいと言われています。
高度難聴(70dB以上 90dB未満)
聞こえのイメージ
- 耳元で大きい声でゆっくりと話しかけるようにすると分かる。
- 補聴器をつかうことである程度の会話は分かる。
- 最高語音明瞭度は50%以下が多くなる。
基本的には補聴器をつけて会話をすることが勧められます。
補聴器をつけていても言葉や会話の内容を聞き誤ってしまう場合があるので、必要なことはメモなど、目でみることのできるものと併用するとより良いと言われています。
人によっては、人工内耳(じんこうないじ)と言われる補聴器での音や言葉の聞き取りが難しい人のための医療機器の適応になる場合もあります。
重度難聴(90dB以上)
聞こえのイメージ
- 耳元で大きな声であっても聞きにくいことがある。
- 補聴器の会話と筆談や手話などの併用が必要になってくる。
- 最高語音明瞭度は20%以下が多くなる。
補聴器でも、聞き取れないことが多いと言われています。
補聴器の使用に加えて、手話や筆談を併用することでコミュニケーションを取ることを勧められます。
人工内耳の装用が考慮されることがあります。
この記事を書いた人
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言語聴覚士として勉強した知識を生かして聞こえについての情報を発信していきます!
水泳と走ることが好きです。
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