補聴器販売店で行う「耳型採取」って?

耳型採取とは、耳の穴に専用の材料を流し込んで型を採ることを言います。

歯医者さんで歯形を採型するのに似ているね
補聴器販売店では、耳あな型補聴器(耳穴の中に入れる補聴器)の作成、イヤーモールド(耳栓)の作成のため一人ひとりの耳にフィットするように耳の型を取ることがあります。
耳型採取はどんな風に行うのか
耳型採取の禁忌8項目の確認を行う

耳型に専用の材料を流し型を取るので、耳に負担がかかってしまいます。
そのために事前に耳の健康状態をみるために禁忌8項目を確認します。
禁忌8項目のいずれかに該当する場合は必ずご購入前に耳鼻咽喉科(補聴器相談医)の受診をお願いしております。
実際に耳の中も専用のペンライトを使って傷がないかも確認します。
禁忌8項目
- 耳の手術を受けたことがある
- 最近3か月以内に耳漏があった
- 最近2か月以内に聴力が低下した
- 最近1か月以内に急に耳鳴りが大きくなった
- 外耳道に痛みまたはかゆみがある
- 耳垢が多くたまっている
- 聴力測定の結果、平均聴力の左右差が25dB以上ある
- 聴力測定の結果、500、1,000、2,000Hzの聴力に20dB以上の気骨導差がある
耳の穴の中に「ストッパー」と言われる綿の玉を入れる

耳に流し込む材料が奥に流れ込まないようにするためにいれます。
奥には入ってしまうと鼓膜に傷がついてしまったり危険があります。
専用の材料のもとを耳の穴の中に入れる

材料を流し込むと山に登ったり、飛行機に乗ったしたときに感じる耳が詰まった感じになります。
注射器に似た形の器具を使います。
一見すると簡単そうにみえますが、注入をする速さ一定にする技、圧力のかけ方を一定にする技、欠けている部分がないようにする技など高度なテクニックが必要です!!
型が固まったら、外す
5分程度で固まって外せるようになります。外す時も圧力を逃がし耳に負担がかからないように耳の型に沿ってゆっくり丁寧に外します。
型がキレイにとれているか、耳の中は問題ないかをみて、完成!

実際に耳型採取をやってみた!
新人である筆者は、技術のある認定補聴器技能者のスタッフから一通りやり方を教わり練習をしてみました。
はじめて耳型採取を行ってみて難しいなと感じたところは、「一定の圧力をかけること」です。
一定の圧力をかけないと、耳型を採取したときに段差が生まれてしまいます。
また型を欠けるところなく作るのも難しいなと感じました。
これは一定の速さで注入する技に加え、耳のかたちと構造をしっかりと頭に入れておかないといけないため、一筋縄ではいかないなと感じました。

写真をみてみると左が当店のきちんと技術を習得した社員のもの、右が素人の筆者のものです。違いは明らかですね。
写真で丸にした部分は、耳型採取をするにあたり絶対に逃してはならない部分。耳の構造をしっかり理解し、注入する技術を持っては初めてきれいな耳型ができます。

次回は、耳型採取をつかってどんなサービスができるのかついて書いていこうと思います!
この記事を書いた人

- あいち補聴器センター言語聴覚士
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言語聴覚士として勉強した知識を生かして聞こえについての情報を発信していきます!
水泳と走ることが好きです。
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