補聴器の音に慣れるまで①

どんな人で合っても自転車に乗ったり、泳いだりなどいきなり出来るようになることはありませんよね。

何回も練習をして徐々に慣れていき、徐々にあまり意識をしなくても出来るようになると思います。

補聴器も同じで、つけてすぐに「よく聞こえる!」「快適!」というものではなく、徐々に慣れていくものになります。

今回は補聴器の音に慣れるまで①というタイトルで「なぜ直ぐに聞こえるようにならないのか?」「なぜゆっくりと時間をかけていくものなのか?」について書かせて頂きたいと思います。

補聴器は使うほどよく馴染んでくる

うるさいイメージ
最初は沢山の音が入ってきて騒がしく感じるかもしれません
変わっていくイメージ
補聴器を毎日つけることで少しずつ変わっていきます

補聴器に関してよく「うるさいだけで聞こえづらい」「言葉以外の音が大きすぎる」という理由で補聴器をつけることを諦めてしまったりという話を聞いたことはありませんか?

上に書かせて頂いた通り補聴器はつけてすぐに聞こえるようになるものではなく、毎日つけることによって「一歩一歩ゆっくりと慣れていくもの」になります。そして「使えば使うほどその方に馴染んでいくもの」にもなります。

どうしてなのか?について一つずつ書かせて頂きたいと思います。

音は脳で理解するもの

音は脳で理解するものになります
取捨選択イメージ
脳では必要な音そうでない音を無意識のうちに聞き分けていると言われています

音は「耳」で聞くものでありますが、ことばを聞き分けたり音の意味を理解するのは「脳」になります。

長年沢山の音を聞いている私たちの脳は、無意識のうちに必要な音(ことば)と不必要な音(ことば)を聞き分けていると言われています。

例えば、ザワザワとした居酒屋の中でも会話が出来たり、電車に乗っていて目的場所のアナウンスが聞こえてくると途端に反応したりするのは、脳が無意識的に音の聞き分けを行なっているからとも言われています。

聞こえづらい状態が続くと…

細胞イメージ
耳の中には音を感じる有毛細胞があります
敏感イメージ
聞こえない状態が長いと小さい音でも聞こえるように有毛細胞が感度をあげていると言われています

聞こえにくい(難聴)の状態が長く続いていると脳は音の刺激が少ない状態に慣れてしまいます。

また耳の中にある、音を感じ取る細胞の「有毛細胞」では、小さな音でも聞こえるように「耳の感度」をあげているとも言われています。

そのような状態で補聴器を付けて、聞き取りに必要な音を届けると今まで聞こえてこなかった音が沢山入ってきます。

音の刺激が少ない状態で慣れてしまい且つ、聞こえの感度が上がった状態であるため、脳は「騒音」「雑音」と判断して不快に感じてしまいます。

これらのことが補聴器が「うるさいだけで聞こえづらい」「言葉以外の音が大きすぎる」といった要因の一つになっていることもあります。(音の調整が上手くなされていない、メーカーの音質がその方に合っていないなど他の要因も勿論あります。)

まとめ

今回は補聴器の音に慣れるには①というタイトルで「なぜ直ぐに聞こえるようにならないのか?」「なぜゆっくりと時間をかけていくものなのか?」について書かせて頂きました。

次回以降どのようにしたら補聴器の音に馴染んでいくのか?について書かせて頂きたいと思います。

この記事を書いた人

阿部
阿部あいち補聴器センター言語聴覚士
言語聴覚士として勉強した知識を生かして聞こえについての情報を発信していきます!
水泳と走ることが好きです。